南国の風土とモダニズム建築を融合させた「トロピカル・モダニズム」というスタイルを生み出したスリランカの建築家 ジェフリー・バワ
バワが手がけた自邸やホテルなどに作られた家具がインド・バンガロールにある工房 Phantom Handsによって復刻されています
その復刻プロジェクトと連動した企画展が神戸 Vague Archivesにて開催されることを知り神戸までやってきました

企画展が開催されるのは神戸 旧居留地 海岸通沿いにある歴史的建造物「チャータードビル」
英国 チャータード銀行の神戸支店として、アメリカ人建築家ジェイ・ヒル・モーガンが設計し1938年に竣工した建物

イオニア式の列柱が並ぶファサードが、バワの週末邸宅ルヌガンガのメインハウスを想起させてくれます
では、早速企画展へ!
ジェフリー・バワ展 ートロピカル・モダニズムの家具ー

昭和初期の重厚感ある空間に、バワの家具や照明、テキストサンプルなどが展示されています
上は、バワのコロンボにある私邸No.11で使われていたソファー、奥にNo.11、ベントタ・ビーチ・ホテルで使用されていたラウンジチェア

バワの週末邸宅 ルヌガンガのギャラリーにあるダイニングテーブルとベントタ・ビーチ・ホテルのダイニングチェア

私邸No.11の1階、ゲストスイートのためにデザインされたソファ、バワが1986年に改修したコロンボにあるデ・サラム邸のコーヒーテーブル

ヘリタンス・カンダラマのカンチャナ・ラウンジのためにデザインされたストーンランプ

このラウンジチェアはバワが所有していた植民地時代のアームチェアからアームを取り外して生まれたものだそうで、布張り、籐張りのバリエーションがあります

ヘリタンス・カンダラマのラウンジチェア
この椅子は、1990年代の初め、オーストラリアの建築家ラッセル・ホールから送られた波鉄板の椅子から着想を得てデザインされたそうです

バワの事務所の隣にあったカフェのために制作されたネクストドア・カフェ チェア
No.11やルヌガンガのテラスなどに置かれていたアンフォールディングランプ
首都コロンボと南部の港町ゴールの中間地点付近のベルワラ(ルヌガンガの近く)にあるネプチューン・ホテル(現ヘリタンス・アーユルヴェーダ)のバーで使われていたレザーのサドルチェア

No.11のエントランスに置かれていたバワの愛犬たち用のコンクリート製ベンチ。復刻版はストーンアグリゲート(骨材入り石材)で作られています

ヘリタンス・カンダラマに置かれているパーチ・ベンチ
デザインはバワの弟子であるチャナ・ダスワッテによるもの
チャナ・ダスワッテは、ゴールにあるバワ設計のホテル「ジェットウィング・ライトハウス」の北側に新設されたスパウィングを設計された建築家

ヘリタンス・カンダラマの灰皿まで復刻されていました!

木材のカラーサンプル
色味はオリジナルのものではなく、経年で色褪せたトーンを考慮して調色されているそうです

バワの友人でもあったバーバラ・サンソニが創設したテキスタイルメーカーBarefootのファブリック
オリジナルの家具に使用されているファブリックは椅子張り用の布地ではなかったそうで、今回の復刻に際し椅子張りに適した生地として作られたもの



その他、家具を管理するシートや復刻シーンのムービーなどが展示されています

元々はバワが設計した空間に置くことを想定してデザインされた家具たちなので復刻という言葉がしっくりきませんでしたが、忠実に再現されたクオリティの高い”復刻”になっており心を打たれるものがありました
企画展が行われた昭和初期に建てられたヴィンテージな建物が、バワが創り上げた空間にも通ずるものがありとても素敵な展示でした
ありがとうございました
今回の企画は、建築設計や家具の販売を行なっている「五割一分(ゴワリイチブ)」さんと、家具の販売などを行う「ART MODERN JAPAN」さんの主催によるもの
2026年5月1日にオープニングイベントとしてGeoffrey Bawa Trust 財団長Channa Daswatte氏、Phantom Hands創設者 Deepak Srinath氏、Aparna Rao氏のトークイベントがありましたが、残念ながら抽選に外れてしまい一般公開の初日5月2日に伺いました
定員30名くらいのところ400名近い応募があったそうです!
会期|2026年5月2日(土)〜5月4日(月)、5月8日(金)〜5月11日(月)
11:30-18:00 (入場17:30まで)
*5月5日(火)〜5月7日(木)は休廊日会場|Vague Archives
兵庫県神戸市中央区海岸通9番2号 チャータードビル3階

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チャータードビル / Vague Archives

ジェフリー・バワ展を見終わったあと、せっかくなのでチャータードビル / Vague Archivesさんも見させていただきました


合理性、機能性を追求したモダニズムが台頭する前の近代建築ですが、現代の感覚だと無駄と思えるようなものの中に、優雅さや重厚感、権威性を感じとることもできます
現在はプロダクトデザイン、空間デザインをされている柳原照弘氏の「Teruhiro Yanagihara Studio」が主宰するギャラリースペース「Vague Kobe」として活用されています
重厚感あるスケルトンの空間の中に家具、陶磁器などが置かれており、「古いこと」と「新しいこと」が美しくミックスされた空気感を生み出していました
ここもジェフリー・バワの空間と通ずるものを感じさせてくれます
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スリランカの建築家ジェフリー・バワの別荘 ルヌガンガへ Lunuganga Estate by Geoffrey Bawa