過度に機能を追求するモダニズムの反動として現れたポストモダニズム
無意味な装飾やポップなカラーリング、誰もが暗黙知として認識している形状を無視したフォルムなど、既成の概念をぶち壊し、デザインの領域を拡張したムーヴメントとも言えるでしょう
そのポストモダニズムを牽引したのがイタリア人建築家・デザイナーのエットレ・ソットサス。そして彼が率いたデザイン集団「メンフィス」

彼がデザイナーとしてのキャリアをスタートさせた1950年代後半から1980年代のメンフィス時代、1988年のメンフィス解散後までの作品を展示する企画展が京橋 ARTIZON MUSEUMで開催されています(2026年6月23日〜10月4日)


1956年にトスカーナで創業したポルトロノーヴァ社で製作した家具


1958年 OLIVETTI社の電子機器部門のデザインコンサルタントとなったソットサスが1969年にデザインした不朽の名作 Valentine(タイプライター)
鮮やかなイタリアンレッドを纏い、本体の背がケースの蓋を兼ねる斬新なデザイン
彼の代表作のひとつと言えるでしょう


1960年代に巻き起こったカウンターカルチャーの影響を受けたソットサスは、ビートニックの詩人 アレン・ギンズバーグとの親交もありヒッピーカルチャーに傾倒していきます
大量消費社会が人間の精神性を失わせていると考えるようになり、陶器でできたトーテムや、自然の中に木・石・ロープなどで架空の建築物を作り写真に収めることを続けていたそうです

1980年代に入るとソットサスはデザイン集団「メンフィス」を組織します
参加したデザイナーは、ミケーレ・デ・ルッキ、マルコ・ザニーニ、日本からは倉俣史朗、磯崎新、梅田正徳など総勢20名ほどのデザイナーが集まっていました


この展示セクションには、メンフィスに参加していたデザイナーの作品が2つ並んでいます
右が倉俣史朗のTOKYO(1983年)、左がミケーレ・デ・ルッキのSEBASTOPLE(1982年)

倉俣史朗のTOKYOはコンクリートの中にガラスの破片を混ぜ込んで作られています

ソットサスといえばこれ、代表作 1981年 Carlton

色鮮やかで奇抜なフォルムのガラス作品が並びます
1985年、ソットサスは商業主義化していたメンフィスを脱退。中心人物を失ったメンフィスは1988年に解散することになります

1988年 Acropolis

1994年 Cabinet No.8
ここまでくるともはや家具としての機能性は薄れアートの領域

物体が持つ意味性をとことん破壊した先に生み出された作品群を眺めていると、現代のプロダクトデザインが失っている精神性のようなものを感じさせてくれます
実用性はないけれど、遊び心を感じさせてくれるフォルムやカラーリングは、心に余裕を与えてくれるのかもしれませんね