占星術の源流にも繋がるギリシャ神話をはじめ、世界の神話の中には星の神々が数多く登場します。しかし日本神話に星の神様が登場することはほとんどありません
日本神話にでてくる数少ない星の神様といえば天津甕星(あまつみかぼし)、別名 天香香背男(あめのかがせお)/ カガセオ
その昔、高天原に住んでいる天照大御神が葦原中国(あしはらのなかつくに)を治めていた大国主神に地上世界を譲るよう迫る国譲りの神話
その中で最後まで国譲りに抵抗したのが天香香背男
葦原中国平定を遂行した建御雷神(たけみかづち)と経津主神(ふつぬし)にも従わず、最終的に建葉槌命(たけはづち)によって服従させられたと言われています
戦いの神 武神である建御雷神・経津主神にも従わなかった、まつろわぬ神 天香香背男がなぜ織物の神 建葉槌命によって服従させられたのか?
その理由は諸説ありますが、織物の中に星を織り込んで封印したからというものもあります
その封印された星の神 天香香背男を祀る神社が茨城県 日立市にあります
大甕神社(おおみかじんじゃ)

東京から常磐道で約2時間
日立南太田ICを降りて国道6号線を北東に進んだ右手に大甕神社があります

参拝したのは2026年7月1日
まだ茅の輪が出ており、夏越大祓の跡が残っていました
こちらは北を向いた大鳥居と神門ですが、国道の裏手を走る旧陸前浜街道沿いにもうひとつ鳥居があります

こちらの鳥居はこぢんまりとしており、変わった形状のしめ縄がかけられています
以前はここが正面だったのでしょうか?

手水舎の隣に大甕神社の由緒があり、御祭神 武葉槌命(たけはづち)、地主神 甕星香々背男(みかぼしかがせお)とあります
そう、ここは単に香々背男を祀る神社というより、武葉槌命が香々背男の霊力を封じ込めている神社なのです
日本の神々は漢字が異なっていたり、呼び方が微妙に違っていますが、以降、武葉槌命と香々背男にすることにします

この鳥居の正面に大きな拝殿があります
ここは武葉槌命を祀る拝殿

その背面に宿魂石(しゅくこんせき)という大きな磐座(いわくら)がそびえています

この磐座に、まつろわぬ神 香々背男の荒御魂が宿っているとされています
この磐座のことを「大甕」(おおみか)というんですね
面白いのは後半の文章
当地は古代「大倭国」大和朝廷の支配の及んだ地域と未知の世界「高天原」にも例えられる「日高見国」との境界に見立てられ磐座には地主神甕星香々背男が祀られております
大和朝廷と日高見国との争いが本当にあったのであれば、神話の世界に書かれていることとリアルの世界の出来事が合致しますね
さらに「高天原」が「日高見国」が同じというのも面白いところです
余談ですが、鹿島には「高天原」という地名がいまでも残っています
この辺は以前書いた鹿島神宮参拝の記事をご参照くださいませ


磐座を左手に見て進むと香々背男を祀る「甕星香々背男社」へ

屋根に星のマークが施されたお社

「甕星香々背男社」から反時計周りに磐座を昇っていきます

見上げると静三體龍神社、その奥に本殿が見えます

さらにぐるっと回ってチェーンがついた鎖場(もじずり石)を登ります

登りきったそのさらに上に本殿が鎮座しています

本殿は「倭文神(しずのかみ)を祀る」とありますが、倭文神は武甕槌命と同一の神様なので、最初に参拝した拝殿はここに繋がってるということです
ここでこの神社の構成が立体的に理解できます
香々背男の荒御魂が宿る磐座の上下に建葉槌命を祀る拝殿・本殿を配し、香々背男を押さえ込んでいるのです
余談ですが、大甕神社から東に20kmほどのところに武葉槌命を祀った常陸國二宮 静神社(しずじんじゃ)があります。なお常陸國一宮は鹿島神宮
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建御雷神(たけみかづち)は鹿島神宮、経津主神(ふつぬし)は香取神宮、そして建葉槌命、香々背男を祀る大甕神社
なぜ、房総北部から日立付近にかけて葦原中国平定の痕跡が数多く残っているのでしょう?
かつて東北から常陸にかけてあったと言われる日高見国
この地には星を信仰としていた部族がいたのでしょうか?
そして、どのような理由で日本の神話は星の世界を閉じ込めようとしたのでしょう?
天照大御神は太陽=昼、その対になるのが星=夜
夜空に煌々と輝く、月、金星、シリウスなどを、天照大御神の反乱分子として捉えられていたのでしょうか?
712年、いまから約1300年前、藤原不比等によって古事記と日本書紀が編纂されたと言われています
もし、その編纂の意図が藤原氏統治を正当化するためだったとしたら、今日まで日本人に植え付けられてきたものはただのヴェール、意図された共同幻想であったのかもしれません
陰陽は常に揺れ動きながら均衡を取ろうとするもの
陽の力が優勢となれば、陰の力が動き出すのが世の常

香々背男の荒御魂が封じ込められている磐座に星型の花が落ちていました
封印に綻びが生じ、星々が浮き出てきているかのよう
もしかしたら、まつろわぬ魂は、いま磐座から動き始めているのかもしれません
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甕星守
大甕神社では毎月1日に星印の箱に入った御守り「甕星守」を授与されています


これをいただくために7月1日に参拝しました!
ちなみに7月7日には鹿の皮に入った御守りが先着20体で授与されるそうです。この辺りで鹿といえば鹿島神宮。なんかちょっと意味深です!
境界石(縁切石)

香々背男の魂が封印されている磐座の下に「境界石」という縁切石があります


社務所でお札を購入し、願いを込めて境界石に貼り付け
波留部 由良由良止 波留部、布留部 由良由良止 布留部
と唱えながら石をくぐります
東天紅

大甕神社では、天岩戸開きの際に天照大御神を誘い出す際に鳴かせたと言われる東天紅という鶏が放し飼いになっており、時折、美しい「コケコッコー」を奏でています

ケージの中にはいくつかの卵と雛鳥が育っておりました
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大甕神社から北に20kmほどのところには縄文時代から続くと言われる信仰の聖地 御岩神社があります

こちらも岩山自体が御神体となっているような神社で、嘘か本当かは知りませんが、アポロ14号の宇宙飛行士エドガー・ミッチェル氏がここから「光の柱が出ている」のを目撃したと言われたりしています
そして日立市といえば日立製作所の企業城下町。日立製作所は国際宇宙ステーションISSの実験棟「きぼう」のロボットアームを作ったり、スペースデブリの状況を把握するシステム SSAを開発していたりします
今も昔も、この辺りは星や宇宙と繋がりのあるということなんですかね?!