目下進行中の沖縄ワーケーションルームのリノベーション
床には3cm厚の杉板を張り、壁には地元の琉球漆喰を塗っています
写真と文字では伝えきれませんが、この空間が生み出す空気感は、一般的な工法で造られた空間とは明らかに異なります
現代の居住空間はマンション、一戸建問わず、合板フローリング+壁紙(クロス)を使うことがほとんど
フローリングに無垢板を使う場合も硬い針葉樹を使うケースが多く、柔らかく傷がつきやすい杉を使うケースは少ないと思います
そして一般的な工法だと合板、無垢どちらであってもフローリングの表面をウレタン塗装し皮膜を作ってしまうので、木の表面に直接触れることはありません
御多分に洩れず東京自宅も合板フローリングにウレタン塗装
ウレタンの皮膜があるので耐水性もあり、傷もつきにくく、ツヤツヤしてぱっと見綺麗なのですが、夏場以外は冷たくて素足では歩けたものではありません
3cm厚の杉板と浸透性オイルのコンビネーション
今回の沖縄リノベーションでは浸透性のある自然塗料リボスのメルドスを使用します
ウレタンのように皮膜を作らないので、耐水性、傷には弱いですが、木材の肌触りを感じることができます
杉板そのものが柔らかいこと、そして厚みが一般的なフローリング材の倍あるので、素足で歩くと木の温もりが伝わってきてほんと気持ち良いのです
房総の小屋にも同じ厚みの杉板(足場板)を張っていますが、冬場も蓄熱性が高く東京自宅のような冷んやりした感じはありません
小屋の方もリボスの塗料(アルドボス)を使用していますが、7年経過しだいぶ味が出てきました
こういった経年変化を楽しめるところもナチュラルな素材を使うメリット
漆喰壁の威力と質感
漆喰には調湿効果があることは広く知られていますが、それ以外にも、乾燥が進むにつれ二酸化炭素を吸収するようになるので、室内の空気がクリーンになったり、石灰のアルカリ成分により抗菌効果もあるそうです
前回は漆喰塗り立てでそのポテンシャルを実感するまでには至っていませんが、漆喰独特の香りが漂っており、ケミカルな空気感はありません
そしてなにより漆喰壁が醸し出す質感が、壁紙やペンキ塗装では出すことのできないアーシーなものになっています
ちなみに今回使用した与那原漆喰さんの琉球漆喰の原材料は石灰岩、稲藁、水のみ
さらに稲藁は沖縄で行われる伝統行事 大綱引きで使用されたもの
素材自体がアーシーな上に縁起の良いバイブレーションも練り込まれています!
主体的に選ばないと得られないもの
この空間、キッチンのタイル張りで接着剤を使ったりはしているのものの、室内の大部分はホルムアルデヒドを発する化学物質を極力排しています
多少の手間暇はかかっていますが、この空間が醸し出す空気感、質感、肌触りは現代の一般的な工法で作られたものでは味わえないものに仕上がりつつあります
家を建てたり、リフォームしたりする際、工務店に言われるがままに部材をチョイスしていてはこういった空間を仕立て上げることはできません
漆喰塗りをサポートしていただいた左官職人 漆喰マンから聞いた話によると、京都のお客さんの中にはヒノキよりも杉を希望する方がいらっしゃるようです(一般的には杉よりヒノキの方が高級)
衣食住どの場面でもそうですが、普通に生活していると店頭に吊るされたものしか選択肢がないように思えてきます
でもちょっと視点を変えて「本当に欲しいものはなんなのか?」というところから素材やモノを選んでいくと、得られるものが大きく変わってくるのです
主体的に素材やモノを選んでいくと、知見が広がり、審美眼が磨かれ、場合によっては健康に直結したり、大きく捉えると環境や経済にも繋がったりするもの
そういったもの全てをひっくるめて最終的に得られたものが「心地よさ」や「豊かさ」に繋がっていくのでしょう
単に「見た目」や「価格」の問題ではないのです