以前から度々ブログに書いているように、ひとくちにタネといっても種類がいくつかあります
遺伝子レベルで組み換えが行われたもの、人為的に異なる親を掛け合わせ優位性の高い個体を作るF1種と呼ばれるもの、いわゆる普通のタネである固定種 など
この中でタネを採り、翌年も同じように育つのは固定種と呼ばれるタネのみ
遺伝子組み換えのタネは使ったことがありませんが、F1種のタネは一世代しか交配できず、タネを採って翌年植えても育たないことが多いのです。要は毎年新しいタネを買わなくてはならないのです
いまマーケットに並ぶ野菜のほとんどはこのF1種のタネで作られたものだそうです。F1種は収穫量や、品質(大きさ・形)が揃うので、市場に安定的に野菜を供給できるメリットがあります
一方、ここ房総フィールドでは、原則 固定種のタネを撒き、肥料や農薬は使わずに刈り取った雑草を重ねるだけの自然農法で野菜を育てています
固定種のタネを使う理由は、生命の領域にまで経済合理性・効率性を持ち込むことへの違和感や、身体への影響が未知数であるといった側面もありますが、むしろ、毎年タネを購入することなく、この土地で生命のサイクルをまわすことができるから
たとえ育ちが悪かったり、大きさがバラバラだったりしたとしても不自然だと思うことはやりたくないのです
2018年4月に種子法が廃止され、各都道府県で管理されてきた固有のタネを開発し守っていく予算が国から配分されなくなりました
この法律の廃止により、今後、国内外の特定の種苗企業への依存度が高くなっていく可能性があります
食料を安定的に供給するためという側面がある一方、企業は利益を上げることがミッション。農家が固定種のタネを回していくとなるとビジネスが成立しなくなります。そのために、種子を操作し、表向きは丈夫で収穫量が多いと謳い、裏ではビジネスを回していく(≒多世代交配出来ないタネを作る)ことはある意味で自由主義経済下の摂理のようなものなのかもしれません
*実際にそういう意図で組織が動いているかは分かりません。あくまでも想像です
当然ながら僕もそういった人為的摂理からメリットを享受しています
しかし、特定の企業にソースを握られてしまうことは、外部依存度を高め、選択肢を狭められてしまうリスクがあることも分かっています
今回の台風15号で房総半島各所で停電が起こり、復旧が遅れている様を目の当たりにし、自分の生活プラットフォームを守るには自衛するしかないと改めて感じています
食べ物も同じこと
ここ数年、房総フィールドでやってきオルタナティブライフは、僕が潜在的に感じてた、高まる外部依存度へのリスクヘッジ
まだ道半ばですが、ようやくかたちになりつつある手応えを感じています
人間の「心」も「身体」も「意識」も、自然の摂理に従ってあるべき状態にリカバリーしていくには時間がかかるものなのです!
ということで、今回は日曜日に採種した来年のゴーヤのタネ。もちろん固定種
5月にタネを下ろしてから、実がなり、熟れてタネをつけるまでの記録をまとめました
*
2019年ゴーヤの種下ろしから採種まで
5月初旬にタネを下ろしたゴーヤ
ゴーヤのタネは堅い殻に覆われているため、エッジを少しだけカットし吸水してから植え付けます
6月後半、ポットで育苗してきた苗を定植
8月下旬ようやく小さな実をつけてくれました
そして9月初旬最初のゴーヤ収穫
9月中旬。採種用に一房残しておいたゴーヤが綺麗なオレンジ色に色づいてきました
数日経つと実が破裂し中から赤いタネが落ちてきます
ぬるぬるした赤いものを水洗いして取り除いていきます
血のような色と感触。まるで出産のようです!
房総フィールドで育ったという記憶をDNAに刻んだゴーヤのタネ
来年再びこの地で実をつけてくれることでしょう