*2019年9月16日 「4)移動式ソーラー発電システムを構築する」を追記しました
今回の台風15号で房総半島は停電が続いています
ここ房総フィールドは電力・ガス・水道といったインフラに繋がっていないオフグリッド状態なので、電力は100Wのソーラーパネル1枚でまかなっています
電力の管理は自分でする必要がありますが、こういった災害発生時にインフラの影響を受けずに済むメリットがあります
今の社会システムは生活のあらゆる部分がサービス化しており、無自覚にそのシステムに依存してしまう傾向があると感じています
ここ10年くらいで気象変動は大きくなっており、局所的なゲリラ豪雨などはもはや常態化しています。さらに今後、3.11規模の地震が発生する可能性も高い状態です
そういったリスクから少しでも自分自身を守るには
「もし今のシステムが機能しなくなったらどうする?」
ということを常日頃から考え、備えておく必要があると思います
今回は、台風15号の被害を目の当たりにし、普段僕が「最低限の電力」を確保しているツールとノウハウをシェアすることにします
INDEX
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1)クルマのシガーソケットから充電する
僕にとってクルマは移動するための道具、ドライビングを楽しむ相棒であると同時に、走る火力発電所だと捉えています
多少なりともクルマのメカニズムが分かっていればその理由は簡単
クルマはガソリンと空気を混ぜ合わせた混合気にスパークプラグで火花を飛ばして爆発させることで動力を得ています。その火花を飛ばすために動力の一部をオルタネーターという発電機に回し、生み出された電力をバッテリーに蓄電しています
その一部がシガーソケットに供給され12V(or 24V)の電気を得ることができるのです
なのでエンジンが回っている間はずっと発電し続けてくれます
この電気を無駄にするのはもったいない!
僕はクルマで移動している間、シガーソケットからUSBチャージャーを介して電源を取り、スマホやデジカメ、ドローンなどを充電しています
他にもクルマ用のインバーター(12V電源を100Vに変換してくれるツール)を付ければAC(いわゆるコンセント)から電源を取ることも可能です
*その際は使用する家電製品の消費電力(W数)を見てインバータを選定する必要があります
USBチャージャー
Anker PowerDrive Speed+ 2-1 PD & 1 PowerIQ 2.0
僕が普段使用しているUSBチャージャーはAnker PowerDrive+ 3というUSB TypeAの口が3つあるものなのですがすでに生産中止
最新のタイプはUSB TypeCとUSB TypeAの2口タイプのものが便利そうです
USB TypeCはそれ以前のUSB規格よりも高い電圧で電力を供給できるので高速に充電することが可能
USB TypeC対応デバイスが増えるとはいえ、まだまだTypeAデバイスが多いこともあるので、USB TypeCとA両方が使えるチャージャーは、現時点では最適なチョイスになるでしょう
Iarlion 自動車用小型インバーター(300W)
あたりまえですがUSBチャージャーだとUSBデバイスしか充電できません。100V電源=コンセントを使えるようにする必要があればインバーターというツールがあります
これは以前、小屋のインバーターが故障した際のリプレイスで候補にあげた製品で、実際に使用したことはありませんが、車載用にも関わらず300Wの出力ができ小型であることから、もしクルマ用インバーターを買うとしたらこれをチョイスします
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2)コンパクトモバイルソーラーパネルで発電・蓄電する
比較的手軽にソーラー発電を体験するには、折りたたむとA4くらいのサイズになるモバイルソーラーパネルがおすすめ
固定式のソーラーパネルを設置するには架台を設置したり、場合によっては工事が必要になるので、賃貸住宅にお住いの方は現実的ではありません
でもこのモバイルソーラーパネルであれば窓越しやベランダに置いて手軽にソーラー発電することができます
この手のソーラーパネルを何種類か試してきましたが、サイズ的にも発電能力的にも実用的なのは28Wのパネル
60Wのパネルは発電量は確保できるものの広げると大きすぎるし、10W〜20W程度だと発電量が弱すぎて使い物にならない
28Wのソーラーパネルに10000mAhのモバイルバッテリーと組み合わせれば1日〜2日でフル充電可能です
10000mAhあれば最新のスマホを2〜3回はフルチャージすることができます
suaoki ソーラーチャージャー 28W ソーラーパネル 折りたたみ式 3ポート同時充電 USB QC3.0
現在使用している28WソーラーパネルはAUKEY社のですがすでに生産中止になっているので、同等のパネルをご紹介
USBポートが3口あり、そのうちのひとつはQC3.0対応で対応機種であれば急速充電が可能となります
もちろん、晴れていればですけど!
中華製のデジタルガジェットは、ブランドだけ異なり中身はほとんど同じ製品が結構あります。最初はこんなんで大丈夫かなぁ?と思うでしょうが、ものは試しです(笑)
僕は今まで何度もチャレンジしていますが、粗悪品に当たるケースは稀ですよ
Anker PowerCore Slim 10000 PD
ソーラーパネルで充電する際、電圧が安定しないため、デバイスを直接充電するよりモバイルバッテリーに蓄電して使う方が良いです
28Wのソーラーパネルの場合、充電時間を考慮すると10000mAhがベスト。1日〜2日でフル充電できます
いま、数多あるモバイルバッテリーの中でひとつ選ぶなら、このAnkerスリムバッテリー。最近のデジタルデバイスはUSB-TypeCに移行しつつあるので、旧来のUSB-TypeAとType-Cに対応しているのは魅力的です
ちなみにUSB-TypeCの口から充電・給電両方でき、最⼤18Wで充電が可能
ただし、バッテリーの充電はソーラーパネルからの出力に依存するので悪しからず(笑)
このソーラーパネルとの組み合わせで使う場合、USB TypeA to TypeCのケーブルがないと充電できませんのでご注意ください!
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3)これで万全!USBケーブルのバリエーションを揃える
余談になりますが、充電システムがあったとしてもケーブルがなければ意味がありません!
現在主流のUSB規画はTypeAと呼ばれる平べったい形をしたもの。一般的にUSBといえばこれをイメージするでしょう
大抵のデジタルデバイスはこのTypeAからMicro USBと呼ばれる小さな台形のような形のソケットに差し込んで給電します。しかし最近はUSB-TypeCに移行しつつあり、さらにiPhoneユーザであればLightningケーブルが必要になります
ややこしいですが、以下のケーブルパターンがあればほとんどのデバイスに給電可能になります
USB-A to Lightning
USB-C to Lightning
USB-A to Micro USB
USB-A to USB-C
USB-C to USB-C
僕は折り曲げても癖がつきにくいので、ナイロン素材で編み込んだAnkerのケーブルを愛用しています
USB-A to Lightning
言わずもがなですがiPhoneユーザ必須のケーブル
純正でも良いですが、このAnkerのケーブルはナイロン素材を編み込んで作られており耐久性が圧倒的に異なります。おすすめ!
USB-C to Lightning
昨日発表された新しいiPhone 11 Proには、今まで別売りだったUSB-C充電器+USB-C to Lightningケーブルが付属しています
USB-C充電の速さを知ってしまうと戻れなくなるんでしょうね!
USB-A to Micro USB
デジタルデバイスがUSB-TypeCに移行しつつありますが、手持ちのガジェットはMicro USBが圧倒的に多いです。まだまだMicro USBのケーブルは必須アイテム!
USB-A to USB-C
デジタルデバイス側がUSB TypeCであったとしても、充電器がTypeAのままだったらこのケーブルが必要。徐々にTypeCの充電器が増えてきているのでこのタイプもいずれ見かけなくなるのかもしれませんね
USB-C to USB-C
これからのUSBはTypeCが主流になっていくでしょうから、これがスタンダードになると思います。TypeCってケーブルが太いからあんまり好きじゃないんですけどね(笑)
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4)移動式ソーラー発電システムを構築する
ある程度広い場所が確保できる場合は、大き目の折りたたみ式ソーラーパネルとポータブル電源というコンビネーションもあります
これくらいの規模になると上で挙げたUSBだけでなく家庭用コンセントも使えます
僕が使っているパネルはPowerFilm 60W Foldable Solar Panel。これにポータブル電源 iPRIGENT リチウムイオンバッテリー(154Wh/41600mAh)を繋げています
ポータブル電源のメリットは電源のないアウトドアや災害時でもコンセントが使えること
僕が使っているシステムは数年前の製品なので、新たにこの規模のシステムを作るならより高出力で汎用性の高いものをチョイスします
選ぶとしたら、LACITAの81Wソーラーパネルとポータブル電源 444Wh/120000mAh/400Wのコンビネーション
定格出力が400Wまでなので使用できる家電は限られますが可搬性を考えれば十分な出力だと思います
実際に使用していないので、このコンビネーションでフル充電までにかかる時間はわかりませんが、持ち運びできる高出力のソーラー+大容量バッテリーがあれば、どこでも電源が確保できるのでいざという時に心強いです
*メーカー公称では夏場の晴天時8時間でフルチャージ可能とあります
LACITA ソーラーパネル 81W チャージャー
81Wともなるとそれなりの大きさになりますがコンパクトに折りたため、持ち運び可能なソーラーパネル
18V/4.5Aで高出力、撥水加工されたポリエステル600Dでアウトドアに置いておいても安心ですね
LACITA ポータブル電源 444Wh/120000mAh/400W
同等の容量があるANKER PowerHouseなどのポータブル電源と比べると圧倒的に汎用性が高いのがLACITAのポータブル電源。定格出力400Wと余裕があること、コンセントの数が3つ、そして大きな違いが他社製はリチウムイオン電池なのに対し三元系リチウムポリマーを使用している点です。リチウムポリマー電池は放電しにくく、寿命も長く非常用電源として使うのであれば優位性があります。
¥54,800と少し値は張りますが、現時点で持ち運びできる電源としてはベストなチョイスだと思います
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5)据置型ソーラー発電システムを構築する
2015年から本格稼働させている房総フィールドのソーラーシステムは100Wソーラーパネルにディープサイクルバッテリー2個の構成。そこから12Vを100Vに変換するインバーターを経由して小屋内に電気供給しています
小屋にある主な家電は、LED照明、ENGEL 冷凍冷蔵庫 ポータブルSシリーズ 15L、SHARP 小型DC扇風機 など
そのほか必要な時にDyson V6掃除機を充電したり、カメラ、ドローン、PCなど各種デジタルデバイスの電力をまかなっています
経験則でいえば、これくらいの規模があれば最低限の生活は維持できます
なにせもう4年も週末小屋暮らしが出来ていますから(笑)
小屋に設置してあるソーラーシステムと同等の構成を最新のものでチョイスしていたら、驚いたことに、僕がソーラーシステムを購入した2011年と比べると価格が1/3くらいになっていました
100Wソーラーパネル ¥10,000
チャージコントローラー ¥1,809
ディープサイクルバッテリー ¥13,080
1500Wインバーター ¥21,998
合計 ¥46,887
5万円でお釣りがきちゃうんですね・・・素晴らしい!
もしパネルを設置するスペースがあればこれくらいのシステムを構築して、日頃使う電力の一部をソーラー経由にしてみるのもありですね
ミニマムな構成で試してから、必要に応じてパネルやバッテリーを増強していけば、ほとんどの電力を太陽光でまかなえちゃうことを実感できると思います
100W ソーラーパネル
チャージコントローラー
ディープサイクルバッテリー
1500Wインバーター
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6)まとめ
もはや私たちの生活レベルを維持するのに電気は必要不可欠です
もしなにか起きた時、最低限の電力を自力で確保できると分かっていれば不安要素は激減します
そして、日頃から意識的に社会システムからドロップアウトしてみると、どれだけ自分の生活基盤がサービスに依存しているか実感できると思います
電力はそういったサービスから手軽にプチドロップアウトすることができるカテゴリーです
一度ソーラー発電を体験してみると意外と簡単に電気を確保することがわかると思いますので、ミニマムなところからトライしてみて下さい
太陽の愛と偉大さがわかりますよ!
オフグリッドを体験してみたければこんなサービスもあります(笑)