先週作業が終わった沖縄ワーケーションルームのDIYリノベーション
2021年春にプロジェクトがスタートしすったもんだしたのち2022年初頭から月1回くらいのペースで沖縄に行って作業を進めてきました
今回は完成したお部屋のルームツアーをしてみたいと思います!
自然素材を使うことで生まれる居心地の良さ 〜 杉の無垢材と琉球漆喰
居心地の良い空間というと、ゆとりのあるレイアウトだったり、統一された色調とか、動線や見た目の要素が強いですが、使われている素材も心地よさに影響を及ぼします
この部屋の床には分厚い無垢の杉板を貼り、壁には沖縄の伝統的な漆喰 琉球漆喰を塗っています
琉球漆喰の原材料は生石灰・稲わら・水
ところどころに籾殻が混じっているのが自然素材の証
乾燥すると多孔質になる漆喰は調湿機能があり呼吸する壁になっています
杉板の塗装には保護膜を作るウレタン塗料は使わず、亜麻仁油ベースの浸透性オイルを使うことで木の呼吸を妨げず肌触りの良い仕上げにしています
洋服も化学繊維を使ったものよりウールやコットンを使ったもののほうが肌触りが良かったりしますが、空間も同じで自然素材を使うことで居心地の良さが生まれてくるものです
この部屋ではゆったりした服を着て素足で過ごすのが正しい過ごし方
では、いよいよ早速ルームツアーへ!
使い勝手とナチュラルな素材とアートが混ざる 〜 ワークスペース兼ダイニング
オーナーからリノベーションのお話をいただいたときのオーダーは「この部屋をワーケーションに使えるようにしたい」でした
快適に仕事をするには大きめのデスクと座り心地の良い椅子は必須です
レイアウトを考えるとき、最初に決めたのはワークスペースでした
ワークデスク兼ダイニングテーブルは、2人で作業していても余裕があるサイズ 1800 x 880でDIYしました
天板は床材に使用しているものと同じ杉のフローリング材を5枚ジョイントし、脚部は戸建ての柱に使われる杉の角材を使っています
椅子は長時間座っていても疲れにくいようクッション性のあるCOMPLEX UNIVERSAL FURNITUREのビストロチェア アームありとアームなしの2客をチョイス
沖縄を感を出すために南国の花を思わせるファブリック サンゲツのサブリナロールを張ってもらいました
ワーケーションの三種の神器といえば「端末」と「インターネット回線」と「電源」
壁のコンセントから電源を取るとケーブルに足を引っ掛けたりしてしまうので床下にコンセントを仕込んでみました
テーブルの下にタップを出せるので見た目もスッキリ
床を取り外せるオフィスだと床下に電源やLANケーブルを這わすのはよくやることですが、ガッチリ固定される住宅のフローリングでも場所さえ決めてしまえばこういったことが可能です
この部屋はワンルームなのでベッドスペースとワークスペースを区切るものがありません
仕事モードとおやすみモードを切り替えられるように無印良品のステンレスユニットシェルフを間仕切りがわりに設置しています
ステンレスユニットシェルフは素の状態だと向こう側が透けてしまうので、ベニア板をくり抜きジュート麻布を貼ったパネルを自作して空間を区切っています
自作したパネルを互い違いに取り付け、下段をワークスペース側、上段の右側をベッドルーム側からアクセスできるようにしてあります
ベッド側から見たときにワークデスクが視界に入らないようにし、朝起きてすぐに仕事モードに切り替わらないよう工夫しました
ワークデスクの奥の壁はアートウォールになっています
リノベーションは基本一人で作業していましたが漆喰塗りだけはオーナーとオーナーの知人の左官職人「漆喰マン」と3人で作業しました
オーナーの発案で、最後に残った1面を手塗りしよう!ということになり三者三様好き勝手に塗り
最後は余った漆喰を投げつけて完成!
手塗りする前は部屋がうるさくならないか心配でしたが、案外しっくり馴染んでいます!
南国の雰囲気とアメリカのエッセンスを組み合わせる 〜 キッチン周り
沖縄といえば南国リゾートのイメージですが、アメリカの影響が強い地域でもあります
キッチンに貼ったタイルはニューヨークの地下鉄で使われているサブウェイセラミックのレプリカを使用し
室内のスイッチやコンセントはアメリカの住宅で使用されているアメリカンスイッチにすることで、日本でありながら外国のような雰囲気が出るようにしてみました
キッチンのシンク、水栓、天板はIKEA
大理石風ワークトップ、杉のフレームにジュート麻布を貼った収納扉でアジアンリゾートっぽい南国感を出しています
キッチンは幅1700mm x 奥行き600mmと大きくはないですが、最低限の調理は十分可能なサイズ
アイリスオーヤマの2口IHコンロ、ニトリの冷蔵庫、無印良品のオーブンレンジ、一通りの調理器具も揃えてあるので滞在中に自炊することもできます
良質な睡眠を得るための工夫 〜 ベッド周り
良質な睡眠が日中のパフォーマンスを左右するのは経験則的にわかっています
いかに快適に眠ることができるのか?これがベッド周りで意識したこと
ベッドの配置は当初は横向きの予定でしたが、目覚めた時に最初に目に入るのがキッチンになるので、窓側を向くように変更
沖縄は本島の西側に位置し朝が遅いので朝陽を感じて起きるのも悪くないですが、熟睡するには遮光した方がベター
遮光と言えばカーテンですが、カーテンだと開けた時にたまりができてしまい、ベランダの出入りに邪魔になります。ブラインドだと埃が溜まりやすく掃除が面倒。機能性とメンテナンス性を考慮しTuiss Décorのロールスクリーンをオーダーしました
部屋全体の色味が淡いこともあり、思い切って黒のファブリック(グラチア スレート)にして空間に締まりを出しています
ベッドは杉の足場板で作ったローベッドの上にセミダブルのマットレスが2枚のっています
マットレスは寝心地とコストパフォーマンスのバランスでニトリにしました
奥側のは少し硬めのNスリープ プレミアムP2-02CR VH、手前側は柔らかめのNスリープ Comfortコンフォート
一般的に体重が重い人は硬め、軽い人は柔らかめを好むといいますが、寝比べてみて自分にフィットする硬さを選ぶことができるのもこの部屋の面白いところです
ベッドボードの両サイドにある照明はベッドを作った時の端材とダイソーのランチョンマットを加工して作りました
ベッドの照明にはIKEAのスマートライトを入れ、ベッドボードに貼り付けたリモコンでON/OFF+調光できるようにしました
その上にはUSB-C x 2ポート、USB-A x 2ポートの充電器Anker PowerPort Atom III 65W Slimを設置し、枕元でスマートフォンなどのデジタルデバイスを充電できるようにしました
充電器に付属している電源ケーブルだと壁面にピッタリつかないのでL字のメガネケーブルに換装して設置してあります
無垢の木材の良さを活かした撥水処理 〜 洗面・浴室・トイレ
図面を起こしているときに一番苦労したのが洗面周りでした
当初、オーナーがミニサウナを入れたいといっていたのですが、電源容量の兼ね合いで導入ができなかったり、床下高と傾斜の都合で配管の取り回しが限られたりして、最終的にトイレ裏にデッドスペースを作って配置が確定しました
洗面台は杉の足場板と角材+2x4材のコンビネーションで制作し、IKEAの水栓と陶器製のシンクを入れました
照明はGENERAL VIEWで取り扱いのあるドイツThomas Hoofの陶器製Angle-mounting porcelain、鏡は福井県にあるアンティークミラー.COMでオーダーしたもの、タオルフックはDULTONのSINGLE HOOK
ドライヤーは風量とコストパフォーマンス、デザイン性でSALONIA スピーディーイオンドライヤーをチョイス
洗面下には着替え、タオルなどを収納できるように無印良品(上段)とカインズホーム(下段)のラタンバスケットを入れてあります
バスルームはタカラスタンダードの「伸びの美浴室Pタイプ 1616サイズ」
居室の面積を考えると少し大きめのサイズですがお風呂でゆったり過ごすには最高です!
洗面エリアは風呂上がりの水分など木材に負荷のかかる場所
ウレタン塗料で皮膜を作り撥水性を高めるのが一般的ですが、無垢材の温かい肌触りがなくなってしまいます
居室部分は亜麻仁油ベースの天然塗料リボス メルドスを2度塗りしていますが、洗面エリアはメルドスに加え撥水性の高い浸透性オイル リボス クノスを上塗りして処理しました
撥水性は高いものの皮膜を作っているわけではないので、少しでも水分の影響を受けないよう、バスルームの出入り口に珪藻土マットを敷いてみました
珪藻土マットはサイズをカスタムできる札幌のキッチンワークスのもの
トイレはパナソニックのアラウーノS160
このトイレは洗浄機能付き。トイレ掃除の負荷を軽減してくれます
トイレットペーパーホルダーは小物を置ける棚付きの2連式を購入したのですが、棚板の色調が合わなかったので足場板の端材をカットしリプレイスしています
数少ない収納スペース 〜 エントランス
ルームツアー最後はエントランス
レイアウト図面を何度も修正しながらエントランスに窪みを作りました
この窪みは収納として活用します
玄関を上がった右手に衣類をかけられる場所を設け、下に収納棚を作りました
収納棚はベッドや洗面台と同様、足場板+角材+2x4材でDIYし、キッチン収納と同じジュートを張った扉を取り付け部屋全体の統一感を出しています
続いてはこの部屋ができるまでの工程をダイジェストでまとめてみました
沖縄ワーケーションルーム メイキング編
解体しスケルトンになった室内全景
設計図面がなかったので実測してレイアウト図面と配電図を起こしました
この図面、CADアプリケーションを使えないのでGoogleスライドを駆使して作っています!
この図面をもとに大工さん、設備屋さん、電気屋さんと擦り合わせを行いました
天井、床、壁は大工さんにお任せし、ここから僕の出番です!
まずは石膏ボードのパテ処理
パテを塗った後やすりで削っていくのですが、この作業、粉塵がすごい
数多あるDIY作業の中で一番苦手な工程です!
平になった石膏ボードに漆喰の下地材を塗っていきます
作業の合間に木材をカットし
仮組みを進めていききます
BOSCHのタイルカッターを取り寄せキッチンに貼るサブウェイタイルをカットし
キッチンの壁面に貼り付け
いよいよ壁面の仕上げ、漆喰塗りをスタート
オーナーの知人 プロの左官職人「漆喰マン」が参戦してくれたおかげで3日で作業を終えることができました
壁面が終わったので養生していたシートを剥がすと、綺麗な杉板が姿を現しました
木材の良さを活かすため亜麻仁油ベースの自然塗料 リボス メルドスを塗布
キッチンを組み立て
杉材でフレームを作りジュート麻布をタッカーで固定し
キッチン収納の扉を作成
洗面台を組み上げ
ワークデスクを作り
最後の大物はベッド
こんな感じだったところは
こんな感じになり
窓側から見ると
こんな感じになりました
この部屋で過ごす人がどのように感じてくれるかは分かりません
ホテル代わりに寝泊まりするためだけに使う人もいれば、ガッツリ仕事をする人もいるでしょう
どのような使い方であったとしても、この部屋にいる時に少しでも心地よさを感じてくれたらDIYer冥利につきます!
そしてその心地よさがどこから来るのかに想いを馳せてみてもらえたらと思っています
最後に、今回のDIY作業で最初に作った脚立を
パテ処理や漆喰塗りするときの足場として活躍しながら、ウェブ会議をしたりご飯を食べたりとテーブル代わりとしても活躍してくれました
MVT - Most Valuable Toolはこの脚立に送りたいと思います!