スリランカの南東部、インド洋に面した港町 ゴール
古くから交易の拠点として栄え、1505年にポルトガル船がこの街にやってきたことからこの街のヨーロッパ支配の歴史が始まります

1604年、それまでゴールの街を支配していたポルトガル軍が東インド会社に降伏。以降オランダの支配下に入ります
そして1663年にオランダが要塞を建設。1796年にイギリスの支配下に入ってからも要塞は使われ続けます
現在は「ゴール旧市街」として世界遺産にも登録され、スリランカを代表する観光スポットになっています
擁壁の中にはコロニアル様式の建造物が多く残り、アジアでありながらヨーロッパの香りが漂う街並みが続いています
ゴール市街から北東に2.5kmほどのところ、首都コロンボまで続く幹線道路A2 Galle-Colombo Roadとインド洋の間、地元の巡回判事のバンガローがあった岩だらけの岬にスリランカの建築家 ジェフリー・バワが設計したジェットウィング ライトハウスがあります

ジェフリー・バワ晩年、1995年-1997年に設計・建設されたこのホテルは、建設業者ハーバート・クーレイが立ち上げた旅行会社「ジェットウィング」の依頼によるもの
バワとクーレイ家の繋がりは深いようで、ハーバート・クーレイの父が1958年にカルメン・グナセケラ邸の施工をしてからバワの複数のプロジェクトに参画していたそうです

ホテルの室内にはハーバート・クーレイの自叙伝「A MAN IN HIS TIME」が置いてあります

ホテルのエントランスはゴール旧市街をモチーフとした石積みの壁で覆われ城門の中へ入っていくイメージ

レセプションのある車寄せから建物の中に入ると彫像が並ぶ螺旋状の階段が視界に入ってきます

これはジェフリー・バワの友人でもある彫刻家・画家 ラキ・セナナヤケの作品で、1505年にポルトガルの探検家ロレンツォ・ダ・アルメイダの軍隊がゴールにやってきたとき、地元のシンハラ人との間で起きた「ランデニヤの戦い」を描いたものだそうです

ゴールの歴史を刻んだ螺旋階段を上るとレセプションエリア

その正面にはインド洋を見晴らす素晴らしい眺望が開けます
「狭くて暗いところ」から「開放的な光あふれる空間」へと繋がる演出は、ジェフリー・バワの建築でよく使われる手法ですね
ここからの眺めは、等間隔に並んだ柱で区切らた屏風絵のようです

レセプションエリアの左側がレストランになっており、コロネードで繋がったテラス席と、屋内席に別れています
インド洋を渡る風を感じながらとる朝食は最高です

テラス席の奥、建物の北端部からはゴール要塞を望むことができます
インド洋の荒波と吹き付けるモンスーンに耐えられる頑丈な窓枠
窓枠の縁に施された大ぶりのL字金具は、素朴でありながらエレガントで全体の風景にマッチしています

開業当初はロビーのあるメイン棟「メインウィング」だけでしたが、2013年にジェフリー・バワの弟子 チャンナ・ダスワッテの手により北側にスパと新たな棟「スパウィング」が増築されたそうです

こちらはメインウィングの北側
自然の岩を活かしながら起伏をつけた中庭の奥に、モダンでありながら南国を感じさせる色彩の建物が配されています

居室へと繋がる階段にも自然の石を活かし、自然の中にいることを感じさせる構成になっています

スパウィング側にあるプール、その奥にスパ
スパの建物に沿って壺が設置されているところがバワテイストが踏襲されている証

スパウィングのエレベーターホール
ヘリタンス・カンダラマでも感じましたが、ジェフリー・バワ建築の見せ場のひとつは階段空間
階段の形状も見せる作りになっており、巧みに取り入れられた光と壁面に施された色彩とのコンビネーションが絶妙です

宿泊したのはスパウィングの居室
バルコニーからは、レセプションエリアと同様、インド洋を見渡せます
床面の木、窓枠と扉、バルコニーの色彩がトロピカルムードを演出してくれます

ベッドルームは普通の広さですがクローゼットとバスエリアは照明が落とされラグジュアリーで広々した作り

ドレッサーと同様、アルミ製の大きな枠に鏡が施されたバスルーム
水栓の形状もヨーロピアンデザインでコロニアル感があります

冷蔵庫にはスリランカの飲料メーカー「PELICAN ISLAND」のソーダーウォーターとトニックウォーターが入っていました
ボトルが可愛すぎて持って帰ってきてしまった(笑)
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プールサイドを歩いていたのはミニイグアナ
インド洋に面したこのホテルは、海を借景と岩場の形状を活かして自然との一体感を生み出しながら、異国との戦いやヨーロッパ支配下に産み出された擁壁やコロニアル様式を取り込み、この地の自然と歴史を刻み込んだトロピカルモダニズム建築といった印象でした
ジェフリー・バワの週末住宅 ルヌガンガや、ジャングルの中に佇むヘリタンス・カンダラマホテルと比べるとモダンな印象ですが、要所要所にバワエッセンスが取り込まれ、まさに集大成的な構成になっています
ゴール市街の喧騒を抜け、インド洋を眺めながらゆったりと過ごすには最適な空間です
スリランカの建築家ジェフリー・バワの別荘 ルヌガンガへ Lunuganga Estate by Geoffrey Bawa
Geoffrey Bawa: The Complete Works

