木材の良いところは腐り土に還れるところです。しかし、ある程度長い時間、例えば10年とか100年とか、木材を利用させてもらおうとするとなると簡単に腐食されては困ります。
でも研究熱心な人類は腐食を遅らす防腐剤というツールがを発明しました。
一般的に建造物など工業用に使われる防腐剤といえばコールタール。コールタールは石炭をコークスにする際に出る副生成物です。さらにこれを蒸留したものがクレオソートと呼ばれる防腐剤になります。今はコンクリート製になっていますが、ひと昔前、線路の枕木に使われていたのがこのクレオソートです。
しかし、このクレオソートという物質は最初に発見された発癌性物質であります。
房総で小屋を建てている時、整地した区画の土留めにユーズド枕木を使おうと思っていたのですが、このことを知り取り止めました。
その後、小屋を建てる際に改めて防腐処理をどうするか?というテーマにぶち当たりました。クレオソートの入ったものは使いたくないですし、できればケミカルではないものはないか?
と探していた時に出会ったのがこのWood Long Eco(ウッドロングエコ)
成分についての記載がどこにもない謎の防腐剤ですが、説明文には、乾燥後は土壌や水を汚染しない、強酸性の物質とのこと。
実例として、60年前にウッドロングエコを塗ったスウェーデンにある丸太小屋が今でも文化財として展示されているそうです。
若干の怪しさを感じつつも、これはいいかも!と思いインスピレーションで購入しました。
使い方は非常に簡単。まず粉末状の粉を20g 4リッターの水に溶かして液体を作ります。混ぜ合わせた液体は茶色く濁った無臭の泥水のような感じです。それを刷毛で木材に塗布していきます。最初はただ水を濡らしただけのようですが、乾燥するにつれ木材がシルバーっぽい色味を帯びてきます。乾燥したら防腐処理完了です。
おそらくですが、鉄を防錆する際、リン酸で洗い皮膜を作ることでサビにくくしますが、これの木材バージョンみたいな感じがします。
実際の効果はというと、まだわかりません。この検証には時間を要するのです。それは、いずれ小屋が朽ち果てた時にわかるのでしょう。
今の世の中は何事もスピーディに動いていき、すぐに結果を求める傾向が強いですが、世の中には異なるスピードで進行している物事が複数共存しているのです。そして論理的によくわからないけれど、結果的に正しかったということもあるのです。
自然の時間軸にシンクロするとそんなことを思い出させてくれます。