京都祇園の南側にある禅寺 両足院でデンマークの家具デザイナー ポール・ケアホルムの展覧会が行われています(2024年12月21日〜2025年1月19日)
よほどの家具好きでもない限り、あまり名前を聞いたことのないデザイナーだと思いますが、Yチェアーをデザインしたハンス・J・ウェグナーの勧めで家具メーカーフリッツ・ハンセンに入社し、その後(ひと揉めあって)アルヴィン・コル・クリステンセン社からミニマムなデザインの家具を多数生み出していきます
ケアホルムが51歳で他界したあと、コル・クリステンセン社の事業継続が厳しくなり、同氏の家具の製造販売をフリッツ・ハンセンが継承し現在に至るようです
ジェネレーション的にはチャールズ・イームズ、イーロ・サーリネンなどと同じミッドセンチュリー期(1950年代)のデザイナーですが、アメリカ系モダニズムがどこかポップさを感じさせるのに対し、ケアホルムのデザインは北欧らしく、よりミニマムなモダンさがある印象があります
最近はこのような寺社仏閣など歴史的な空間を活かしてハイブランドが企画展を行っていますが、家具メーカーがこのようなコラボレーションをするのはあまりななかったような気がします
この頃のモダンファニチャーは、日本のミニマリズムから大きな影響を受けているので、ハーモニーを生み出すことは間違いありません!
では、早速中へ!
会場は両足院の「方丈」と「大書院」
「方丈」では、家具がバラされた状態で置かれ、構造の美しさ、細部にまでこだわったパーツを見ることができます
PK25 エレメントチェアのスチールフレーム、美しい!
このフレームに麻紐を張って座面を作るのですが、この辺りがウェグナーっぽい=北欧っぽい感じがしますね
方丈の縁側にはPK15などの代表作に実際に座って庭を眺められるようになっています
1脚50万〜200万円くらいする椅子に座る機会もそうそうないのでじっくり堪能させていただきました!
続いて大書院へ
ここでは実際に椅子に座りながら、この空間とケアホルムデザインの調和を体感することがコンセプト
PK9 Chair
PK24 Lounge Chair
PK0 A Lounge Chair
PK31 ソファに座り眺める和の空間
素材的にもフォルム的にも異質な部分も多いですがどれも見事に調和しています
「今回の展覧会はフリッツ・ハンセンでも新たな試みである」と公式HPにありましたが、「用の美」である家具作品こそこういった空間で体感できると楽しいですね
それにしても、京都という街にそこはかとなく流れるこの空気感
なんでもないようでいて、細部にまでこだわりながら、そのこだわりを感じさせない美意識のようなもの
そういったものがひとつひとつ積み重なって、空間となり、それが街全体へと広がっている
そんな感じがする
と、久しぶりに京の街をふらふらしながら思っておりました
提灯一つとってもかっこ良すぎる!
余談ですが、両足院のことを調べていたら、隣接する建仁寺とともに、その祖は龍山徳見という禅師で、この方、なんと下総國 香取の千葉氏の生まれだそうです
いやぁ、呼ばれるわけだわ(笑)