房総オルタナティブブック | 「小商い」で自由にくらす 房総いすみのDIYな働き方

今日はゴールデンウィークの晴天続きから一転の雨模様

こんな日は小屋で本を読んで過ごすのがベスト

「小商い」で自由にくらす 房総いすみのDIYな働き方

ゴールデンウィークに立ち寄った本屋さんで面白そうな本が平積みされていました。
POPには「何なの、この田舎町は!?へんで、ワクワクする働き方の教科書  地方 X 小商い X DIY」とあり、帯には「地方だからできる。好きな「ものづくり」を仕事にする。作ったものをマーケットで売って、暮らしを立てる。お客さんと顔を合わせて取り引きする。身の丈の小さな経済圏が叶える、理想の生き方。」とあります。
なかなか面白そうな本じゃないですか!

「小商い」で自由にくらす 房総いすみのDIYな働き方
磯木 淳寛著 イカロス出版
いすみを中心に大多喜、茂原、白子あたりを経済圏とし、自分で作ったものを各所で開催されるマーケットで販売して暮らす「小商い」な人達にフォーカスした本です。
僕が房総に来るようになった2010年頃、周辺のことを調べていたら意外にも東京から移り住んできている人達が結構な数いることがわかりました。東京まで通勤している人、仕事を含めて生活の基盤を完全に移している人、何を生活の糧にしているのかよくわからない人(笑)など、そのライフスタイルは様々。軸足を房総に移している人達の中には主人のスタンスを反映した個性的なお店をやっているひとも多く、結果、このエリアが持つ潜在的な魅力引き出すのに大きな役割を担ってました。
そういった様々な人達がなぜ房総エリアに移ってきたのかは個々の事情によるのでしょうが、よく言われるのが、東京との距離感、生活にかかるお金、自然が豊かといったキーワード。そして、そんな人達の多くに共通しているのが、都市(東京)の生活から一歩身を引いて、オーガニックな生活を志向し、できることは自分でやるというDIYスピリットを持っていること。これは僕が目指しているスタンスと重なります。
房総フィールドを購入する際、本当にこんなところに土地を買ってしまっていいのか?と自問しながらも、こういった人達が集まる磁場みたいなもの引きよせられていったのは間違いありません。
いつかこういった人達とゆるく繋がれたらいいなぁと思いつつも、週末の限られた時間では小屋作りや野良仕事をするので精一杯。なかなか外にでる時間的余裕が取れていないのが実態です。
気がつくと土地を購入してから6年が経過。まだまだここ房総フィールドでやりたいことはあるのですが、最低限、週末を過ごす基盤が整いつつあります。そろそろゆるりと周辺にも目を向けていきたいと思っていたところ、ちょうど良いタイミングでこの本に出会ったのです。

この本は、房総エリア各所で開催されているマーケットで小商いしている人達のインタビューで始まり、小商いを始めた背景を浮き彫りにしています。各人に共通する要素はこの本の冒頭にある「「DIY」で「Face to Face」で「LOCAL」な働き方・暮らし方」。ものづくりの想いや、どのように生活されているのか、実際に得られる収入などにも触れられており、こういった生活を志向する人達にはよいお手本になると思います。(もちろんものづくりへの想いがなければ無理でしょうが)
中段には、僕がここに来るようになった頃、房総エリアの磁場を作り出していた天然酵母のパン屋さんタルマーリーさんやブラウンズフィールドの中島デコさんが当時主催していたマーケットのことなどを語り、現在の流れがどのように作られていったか背景が浮き彫りになります。(タルマーリーさんは原発事故のあとすぐに関西に移転されており、その時の様子も中島さんのインタビューに記載されています)

そのほか、以前房総フィールドにも遊びに来てくれたウェブマガジン greenz.jpの鈴木菜央さんが、いすみへ移住してきた背景や地域を面白くする取り組みについて掘り下げ、雑誌spectator(スペクテイター)の青野利光さんが2015年に特集した「ポートランドの小商い」を軸に小商いについて、そして、最後にリーマンショック後、ブルックリンやポートランドで自然発生的に起こった、タイニーハウス、DIY、地産地消といったカウンターカルチャー的なムーブメントをとらえた「ヒップな生活革命」の著者 佐久間裕美子さんが、房総エリアで起きているこのような動きと、アメリカの動きの違いなどを語っています。
奇しくもお三方の本、雑誌は発売されたタイミングで読んでおりました(笑)

書籍というより雑誌に近い構成で「今」の房総エリアがどうなっているのか、どんな人達がいるのか、そして「小商い」で生活の糧をえることについて知ることができる、なかなか面白い一冊でした。

房総エリアへ拠点を移すことを考えられている方、小商いをしてみたいと思う方、こういった生活に興味がある方には参考になる本だと思います。

六畳一間の小屋の中で新しく仕入れたコスタリカのコーヒー豆「カトゥアイ」を淹れ、周辺で起きている動きの気配を感じながら過ごす雨の1日。もちろんコーヒー豆は自家焙煎。これが房総の流儀でございます(笑)

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