植物の叡智の守り人 三人姉妹の物語 トウモロコシとインゲン豆とかぼちゃの畑

以前、5月に房総フィールドに遊びにきていただいたKさんにご紹介頂いた、ネイティブアメリカンの血を継ぐ植物学者 ロビン・ウォール・キマラーさんが書いた本「植物の叡智の守り人

その一節にネイティブアメリカンの間で受け継がれる農業の知恵三人姉妹の物語があります

飢えによって次々に人が死んでいくある長い冬のこと、三人の美しい女性が雪の降る夜に部族の住まいにやってきたという。1人は背が高く、黄色い服を着て、長い髪をなびかせていた。二人目は緑色の服、三人目はオレンジ色の服を着ていた。

三人は家に入り、火のそばに座った。食べ物は乏しかったが、人々はわずかに残った食べ物をこの見知らぬ客にたっぷりとふるまった。

その寛大さへの感謝の印に、三人姉妹は自分たちの正体を明かした ー トウモロコシ、インゲン豆、そしてスクウォッシュ。そして、人々が二度と飢えることのないように、自らをひと塊りの種にして差し出したのだ。

注)スクウォッシュはかぼちゃのこと

そして、この三人姉妹を同じところに植えるとこんなことになるそうです

トウモロコシは背丈が2.5メートル近く、細く揺れる緑のリボンのような葉は茎から四方八方に反り返るように伸びて光を捉えている。葉は隣の葉と重ならないように生えていて、すべての葉が他の葉の陰にならずに光を集められるようになっている。

インゲン豆は、トウモロコシの葉の間を縫うようにして茎に蔓を絡ませ、トウモロコシの邪魔は決してしない。トウモロコシの葉が生えていないところでは、インゲン豆の蔓から芽が出て葉が伸び、芳しい花がかたまって咲く。インゲン豆の葉は、トウモロコシの茎に近いところに下向きに垂れ下がる。

トウモロコシとインゲン豆の根元には、スクウォッシュの大きな葉がカーペットのように広がって、柱のように聳えるトウモロコシの間から差し込む光を捕まえる。葉は層を成すように重なって、太陽の贈り物である光を無駄なく効率的に利用する。有機的な左右対称の形状もそうだ。

葉の一枚一枚の位置や調和のとれた形が彼らのメッセージを伝えている。お互いを尊重し、支え合い、自分が提供できるものを世界に提供し、他者が差し出すものを受け取れば、誰もが十分なものを手にできるのだ。

この一節を読んだ時、

こんな畑にしてみたい!

と思い、春にトウモロコシ、インゲン豆、かぼちゃの種を下ろしてみました

おそらく品種も気候も異なるので、この三人姉妹を同時に種蒔きするとインゲン豆がトウモロコシより早く育ってしまうため、トウモロコシとかぼちゃの種を畑に直接下ろし、インゲン豆はポットで発芽してもらいある程度葉が出てから定植しました

トウモロコシ、インゲン豆ともに順調に育ち、ついに先週、インゲン豆の蔓がトウモロコシの茎に絡みついてくれました

凄い、本当にこうなるんだ!

残念ながらこの区画のかぼちゃは生育が悪く、地面を覆う姿は見られませんが、それぞれの植物が持ちつ持たれつの関係で種をつないでいく様子を目の当たりにでき感動です

日が長く、強い日差しが照りつけ、雷とともに雨が大地を濡らす夏の盛り、三人姉妹の育つ畑を見れば、相互依存が教えてくれることは一目瞭然だ。私には、三種類の植物の茎が一緒になったところが、まるで世界の青写真、バランスと調和への案内図に見える。

まるでダンスを踊るようにトウモロコシに巻きつくインゲン豆の蔓

目に見えないブループリントをもとに自然がもつ力と共存する畑

最近、そんな畑ができたらいいなぁと思いながら野良仕事をしています

こういったことが本当の知恵というものなのでしょうね

 

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