福島原発事故で多くの放射線物質が飛散しました。農作物への影響がどれほどなのか分からない状態ですが、ひまわりが放射性物質セシウムとストロンチウムを吸収してくれるとの情報を得たので、さっそく試してみることにしました。
その前に房総半島の状況を簡単にまとめてみます。
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野菜への影響
房総半島では、旭市のシュンギク、パセリ、サンチュ、セロリ、チンゲンサイ、多古市のホウレン草などから基準値を超える放射線ヨウ素を検出し出荷停止となりました。野菜類の放射性ヨウ素の暫定基準は2000ベクレル/kgに対し、2100~4000ベクレル/kgを検出したとのこと。
ちなみに、セシウムの暫定基準値は500ベクレル/kg。最大値は旭町のなばなから検出された270ベクレル/kgでいずれも下回っているようです。
千葉県HP:東京電力株式会社福島第一原子力発電所において発生した事故に伴う旭市産農産物の出荷自粛要請について(2011/3/29)
http://www.pref.chiba.lg.jp/annou/press/h22/housyanou-kekka-0329.html
その後の測定で暫定基準値を大幅に下回る結果となり、出荷制限は4月22日に解除されています。
房総半島の野菜の産地各所のモニタリング結果はこちらに掲載されています。
千葉県HP:県産農産物の放射能モニタリング検査結果
http://www.pref.chiba.lg.jp/annou/h23touhoku/index.html
牧草地への影響
一方、2011年4月28日には市原、八街の牧草地から放射性物質ヨウ素、セシウムが基準値越えたとのニュースもありました。牧草の基準値はヨウ素が70ベクレル/kg、セシウムが300ベクレル/kgに対し、市原ではヨウ素230ベクレル/kg、セシウム1100ベクレル/kg、八街ではヨウ素90ベクレル/kg、セシウム350ベクレル/kgが検出されたそうです。
1ヶ月前の3月下旬に測定された野菜からはヨウ素が多かったのに対し、4月下旬の牧草地からはセシウムの量が多いのが気になります。
msn産経ニュース:千葉の牧草から放射性物質 初めて基準値超え(2011/4/28)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110428/biz11042822510076-n1.htm
土壌への影響
また、2011年3月31日に房総半島各所でサンプリングされた水田土壌に含まれるセシウム134/137の値も公表されています。いずれのポイントでも基準値以下となった為、作付け制限は行われないとのこと。
セシウム134/137合計の最大値は成田市の畑で301ベクレル/kg、最低値は館山の24ベクレル/kg。
千葉県HP:水田土壌の放射性セシウム濃度の調査結果について(2011/4/8)
http://www.pref.chiba.lg.jp/annou/h23touhoku/suidendojo.html
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これらのソースを見て気になるのが、まず暫定基準値が信じられる値なのかが分からないこと。牧草地のセシウム基準値が300ベクレル/kgなのに、水田土壌では300ベクレル/kgを越えても作付けは行える。なぜ?
報道にある通り、福島原発以後、日本国が定めた放射線暫定基準値はWHOの基準値を大幅に上回っていると言われていますし、何を信じれば良いのか分からないのが分かりません。
もうひとつ気になる点は、各モニタリングポイントで検出される値に大きな開きがあること。水田土壌のセシウム濃度を、九十九里沿岸部のエリアで比較すると、旭市(畑)70ベクレル/kg、山武市(水田)113ベクレル/kg、長生村(畑)45ベクレル/kg。一方、内陸部の成田市(畑)では301ベクレル/kg、香取市(水田)では247ベクレル/kgといった値が検出されています。
風向きにより放射線降下物の量が変わるということを前提にすると、同じ市内でも「公表される値」≒「自分の土地の値」ではないように思えてしまいます。
また、放射線物質が降下すれば葉もの野菜に付着し、真っ先に基準値を超えるのは理解できます。しかし、これらの物質が土に溶け込んで、再び作物に吸収されたとき(生物濃縮)の影響が分かりません。特に根菜類への影響がいつ頃でてくるのか気になります。
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前置きが長くなりましたが本題へ。
残念ながらヨウ素やセシウムを計測する機器を持っていないので数値は分かりませんが、この房総フィールドにも多かれ少なかれ放射線物質は降下しているはずです。
放射性物質でも、ヨウ素の半減期は8日と比較的短いので、暫く放置しておけば良いのだと思うのですが、セシウム137の半減期は30年と長く、生物濃縮された食物を食べ、体内に蓄積されると内部被爆の可能性が高まります。
房総フィールドでも、いずれ作物を作ろうと思っているので、土を少しでもクリーンナップできる方法がないものか調べていたところ、ひまわりがこのセシウムを吸収するとの情報をTwitterで知ることができました。
日本テレビ:特命リサーチ200x 「植物の持つ驚異のパワーを探れ! 」(2000/12/03)
1995年アメリカ・ラトガーズ大学のスラビック・デュシェンコフ博士とイリヤ・ラスキン博士ら旧ソビエト連邦出身の植物学者達が、チェルノブイリ原発から1kmの場所にある放射性に汚染された小さな池で、20種類の植物を栽培、ヒマワリがセシウム137を根に、ストロンチウム90を花に蓄積することをつきとめた。危険性が失われるまで30年以上かかる放射性物質を20日間で95%以上も除去する事に成功したのだ。
http://www.ntv.co.jp/FERC/research/20001203/f1045.html
まるで「風の谷のナウシカ」の腐海のような話ですが、植物の力を利用した浄化技術は「ファイトレメディエーション」と呼ばれ土壌汚染対策に使われているそうです。
Wikipedia:ファイトレメディエーション
ファイトレメディエーション(phytoremediation)とは、植物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、土壌や地下水中の汚染物質を吸収、分解する技術を言う。
植物の根圏を形成する根粒菌などの微生物の働きによる相乗効果によって浄化する方法も含む。バイオレメディエーションの一種。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイトレメディエーション
ということで、さっそく房総フィールドの畑予定エリアに、ひまわりの種をまいてみることにしました。
まだ手つかずのエリアのため、自然に生えた草花(いわゆる雑草!)と竹の根っこに覆われていますが、表面を軽く掘り起こします。
せっかくなので、いくつかの種類を植えてみることにしました。手前にミニひまわり、真ん中に東北八重ひまわり、奥に大輪ひまわり。
かなりアバウトですが、20cm間隔くらいに2、3粒種を落としていきます。
種が無事に育てば、夏にはひまわり畑になるでしょう。そして放射線物質を吸収してもらい土壌を浄化してくれることを祈りつつ。